不動産相続で遺産を分割する4つの方法とは?

2018年09月12日(水)

相続の相談の中でも多いのが不動産に関するもの。
一筆の土地を数筆の土地に分割する分筆や既存の1棟の建物の中間部分を取壊し、そこに障壁を施して空間を設け、構造上独立した2棟以上の建物にする分棟といった制度もありますが、一般的に現金と違って家や土地は物理的に分けることが難しいため、遺産分割協議の際にもめることが多いのです。

そこで、不動産を遺産分割する4つの方法とそれぞれのメリット・デメリットを解説。さらに、分割協議でもめるポイントについてもご説明します。

不動産分割の4つの方法

まずは不動産を遺産として相続した際の分割方法について解説します。
それぞれのメリット・デメリットも紹介しますので、遺産分割協議の際の参考にしてください。

現物分割とは?

現物分割は個別の相続財産の取得者を決定し、各共同相続人に遺産を分割する方法です。
例えば、自宅は妻A、〇〇銀行の預金は長男A、××証券の投資信託は次男Bというように分ける方法です。

非常にシンプルで手続きも簡単。売却や代償金の支払いも不要で、相続後は相続人が自由に利用や売却できるのがメリットです。

一方で、経済的価値が均等になるような割合で相続財産を分配することが難しいため、相続人間で不公平感が生じやすいことがデメリットです。
仮に不動産が3軒あって、3人の相続人がそれぞれ現物分割で1軒ずつ相続した場合でも、不動産はそれぞれ価値が異なるので完全に不公平感を拭い去ることは困難です。

代償分割とは

代償分割は1人の相続人が不動産を相続し、他の相続人に対して代償金を支払う方法です。
たとえば3人兄弟で長男が評価額3,000万円の不動産を相続した場合、長男は弟あるいは妹に1,000万円ずつ代償金を支払います。

現物分割と異なり、不動産を相続しなかった相続人も代償金という形で財産を受け取れるので、不公平感が生じにくい分割方法と言えます。
また、代償金さえ支払えばあとは不動産取得者がその不動産を自由に利用・売却できるのがメリットです。

一方、不動産取得者は他の相続人に代償金を支払わなければいけませんので、大きな金銭的負担が生じます。
不動産取得者に代償金の支払能力がなければ他の相続人も遺産を受け取れません。

共有

不動産を複数の相続人が共同で相続する方法です。相続人が3人いる場合は、三分の一ずつ共有登記します。

こちらも相続人全員が遺産を平等に受け取れるため不公平感が生じにくい方法です。
法務局に申請すればすぐに登記が完了するので、手続きが簡単というメリットがあります。

一方で、不動産を自由に利用できないことがデメリットです。不動産全体を売却したり、不動産全体を担保にして融資を受けたりする場合には、他の共有者の同意を得なければいけません。
また、不動産を賃貸する場合も、共有者全員の同意が必要であることが多いです。さらに、共有者が亡くなって相続が発生すると不動産の権利関係がさらに複雑になります。

相続時の公平感が高くて手続きも簡単ですが、後々トラブルに発展するリスクも高い方法と言えます。

換価分割

不動産を売却して現金化し、それを相続人で分割する方法です。
相続人が3人いて不動産が3,000万円で売却できた場合、それぞれ1,000万円ずつ受け取れます。

遺産を法定相続分に基づいて複数の相続人に分配するので、もっとも公平感が高い分割方法と言えます。
また、代償分割の場合は不動産取得者に代償金の支払い能力がないと分割ができませんが、換価分割であれば代償金の支払い能力が無くても可能です。

さらに、売却してしまえば今後不動産の維持管理に必要な手間やコストがかからないこともメリットと言えます。

一方で、換価分割をしてしまうと不動産が無くなってしまうことがデメリットです。

先祖代々守ってきた土地や家を売ってしまっても良いのか慎重に考えなければいけません。また、不動産を売却した際には仲介手数料がかかり翌年の確定申告時には譲渡所得税などがかかるため、事前にコストをきちんと考えておかないと予想より手元に残る現金が少なくなってしまうこともあり得ます。

分割協議でもめる理由

不動産の分割協議でもめ事の原因になりがちなポイントを解説します。以下の3点については特に明らかにしておきましょう。

その不動産を誰が相続するか

現物分割で争点となります。現金であれば平等に分配することができますが、不動産は平等に分配することが難しいことが多いです。

分筆や分棟といった制度もありますが、土地や建物を切り分けると利便性が低下し経済的価値も下落してしまうことがあるからです。
それに加えて高額であるためトラブルの種にもなりやすいのです。

現物分割で誰が相続するか決まらない場合は代償分割や共有で落とし所を探ります。

代償金を支払う必要が発生

代償分割で問題になります。先ほどもご説明したように、代償金は大きな負担となります。特に不動産取得者に代償金を支払う能力がない場合にトラブルとなりがちです。

たとえば長男が親と同居していた実家を相続したケースでは代償分割をして長男が住み続けるという手段が考えられますが、長男が代償金を支払えない場合には現物分割か共有、換価分割のいずれかを選択することになります。
仮に換価分割を選べば長男が住まいを失うことにもなりかねません。

不動産の評価方法

不動産の評価方法をめぐるトラブルも多いです。
代償分割の場合、不動産取得者は代償金を支払う額が少なくなるので評価が低いほうが有利。一方、他の相続人にとっては不動産の評価が高ければ高い方がもらえる代償金の額も多くなります。評価の方法如何で取り分が大きく変わるのです。

不動産の評価方法には主に「固定資産税評価額」「相続税路線価」「公示地価」「時価」の4つの評価方法があります。

「時価」がわかれば一番良いのですが、買い手が見つかるまで正確な数字はわからないので、「固定資産税評価額」「相続税路線価」を参考に「時価」を推定し相続人間で合意して決めることが多いように思います。

まとめ

今回ご紹介した4つの分割方法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

不動産の遺産分割協議をする際にはどの方法を選択するか、しっかりと話し合うことが重要。
ただし、もめ事に発展するケースも少なくないので、不動産を相続したらまずは司法書士など専門家に相談し、円満に相続できる落とし所を探るのもおすすめです。

不動産の遺産分割はもめごとに発展しがち。

4つの分割方法の特徴とそれぞれのメリットとデメリットを解説しますので、 それらを踏まえて最適な方法を選ぶのが重要です。加えて、もめごとになりうるポイントも押さえたうえで分割協議を進めましょう。


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