空き家を相続する時のリスク

2018年06月06日(水)

近年、高齢化の問題で孤独死やゴミ屋敷が問題視されて居ますがそれと同時に「空き家問題」も大きくなっています。空き家は住む需要がなく古くなって行く一方なのに平成27年に法改正で「空き家」に対する取扱が、厳しくなりました。空き家はいずれ処分しなければいけないものなので今のうちから対策を考えましょう。こちらでは基本的な内容と法改正の目玉である3000万円控除について紹介します。

空き家の相続のリスク

不動産を相続すること自体はメリット・デメリットの両方があり節税目的であえてお金を不動産に変えるケースもよくあります。しかし、空き家に関しては相続する上でこのようなリスクが懸念されます。

税金のリスク

空き家は立派な不動産です。全く活用して居なくても固定資産税や都市計画税がかかってしまいます。相続税については場合によりけりですが空き家の立地が良いと地価だけで基礎控除を圧迫することがあります。

しかも平成27年の法改正によってある条件に該当する空き家は住宅用地の特例を受けられなくなりました。

これらの条件に当たる望ましくない空き家を特定空き家と言います。

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

管理のリスク

たとえ相続税がかからなくても空き家はずっと管理しなければいけません。もし空き家の管理を怠って老朽化したり衛生環境を損ねたりすると思わぬ事故や近隣トラブルに発展します。害虫が発生することや空き家に誰かが住み着いて治安悪化に繋がることもあります。維持費が無駄になることは言うまでもありません。

残念ながら現行の法律では土地や家の所有権を放置することができません。だから、処分するためには売却が基本となります。(寄付を受け入れてくれる自治体は少ないでしょう)

売却する場合

空き家を売却するにあたってのメリットと注意点を解説します。もし、空き家をきちんと管理しなかったために建物が老朽化して倒壊する等して他人へ損害を与えてしまったり、もしくは修繕が不十分で損害を与えてしまった場合は、民法717条により無過失責任を問われる可能性があります。
このような問題を考えれば相場より安くても早く売却できた方が良いと思われます。

売却のメリット

売却のメリットはこちらです。

  • 空き家の所有権を手放せる
  • 空き家を維持管理する義務から解放される
  • 現金が手に入る

不動産を売却すると所有権を手放せるうえ現金が手に入ります。不動産を現金に変えておくと相続税の納税資金にできる、遺産分割がしやすくなるというメリットが生まれます。ただでさえ処分しづらい空き家が相続によって共有関係になるとさらにややこしい問題に発展するでしょう。

売却の注意点

空き家は資産評価が難しいので複数の業者に査定してもらいましょう。空き家の状態によっては家の値段がつかないこともあります。そもそも空き家は老朽化していることが多いので家+土地の値段どころか土地の値段から解体費用が引かれることもあります。

相続が開始すると不動産は共有状態になるので相続人全員の同意がないと売却できなくなります。よって、できれば相続開始前に売却を済ませておきたいです。(逆に相続トラブルが予想されない場合はあえて相続開始後に売却することで譲渡所得税を節税できます)

賃貸に出す場合

空き家の活用法として賃貸に出すことも考えられます。賃貸に出して借り手がつけば貸家建付地として財産評価されることから評価額が安くなり、さらに賃借人が家を借りている分が賃貸割合として安くなります。

ただし、賃貸に出したからといってすぐに借り手がつくとは限りません。売却のタイミングを逃さないこととリフォームにお金をかけすぎないことに注意してください。

3,000万特別控除とは

空き家は相続した人に取っても問題ですが、空き家の周りに住む人にとっても懸念事項となります。国としても空き家をなんとかしてほしいと考えているようです。そして、平成27年の法改正で空き家は売却しやすくなりました。

いわゆる「3000万円特別控除」と呼ばれているものです。

これは空き家を譲渡した際の譲渡所得に対して3000万円を特別控除して税金を課すものです。この制度は空き家を取り壊した土地についても適用される場合があるのですでに更地にした人も諦めないでください。

この特別控除を受けるためには多くの要件を満たしていなくてはなりませんが、一部の具体例として次のようなものが挙げられます。

  • 昭和56年5月31日より前に建築された家屋に被相続人が1人で居住して居たこと
  • 平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡すること
  • 譲渡の時に一定の耐震基準を満たしていること(そうでない場合は既に取り壊してあること)
  • 空き家を取り壊した場合は空き家がそこにあったと証明できること

法律は知っている人が得をします。法改正には常に注目したいところですがなかなか難しいと言う場合は司法書士にお問い合わせください。

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